2018年8月18日。まだ午後も早い時刻だが、ポケットにウイスキーの小瓶を忍ばせて拙宅近くの畑みちをぶらぶら拾う。初夏に麦を刈り取った畑には、蕎麦が蒔かれて芽を伸ばしていた。
ひと月経った9月なかごろの蕎麦畑の様子。白く可憐な花をつけた蕎麦畑に立つ。一面の蕎麦の花は、美しすぎて異界のもののようにも思えてしまう。去って行った夏を思い返し、言葉にならない寂寥感を表す色なのだ。
蕎麦の花のときは、長い。咲き始めには、隣の水田はまだ青々としている。これが、時の移ろいに気付かずに居ると、いつの間にか田んぼは黄金色に変じて輝いている。白と緑、白と黄金。鮮やかな色彩の対比も移ろうのだ。
9月22日。白き花も永遠ではない。徐々に褐色をまとい、花は枯れてゆく。花弁の下に、四面体のような蕎麦粒が見える。
午後の蕎麦畑。初秋に眺めた白い輝きはすでに失われている。
9月28日。たった数日のうちに、蕎麦の花は消え去った。
かつて花が咲いていたあたりを眺めれば、まだ緑色をした玄蕎麦の実を観察する事が出来る。この中で蕎麦の実が太るのだ。
そして十月に入ると、そば殻は暗褐色に変じてくる。
刈り入れまで、あとすこし。新蕎麦の季節まで、わずかである。たまらん。
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