2018年10月5日金曜日

蕎麦、実る。


2018年8月18日。まだ午後も早い時刻だが、ポケットにウイスキーの小瓶を忍ばせて拙宅近くの畑みちをぶらぶら拾う。初夏に麦を刈り取った畑には、蕎麦が蒔かれて芽を伸ばしていた。







ひと月経った9月なかごろの蕎麦畑の様子。白く可憐な花をつけた蕎麦畑に立つ。一面の蕎麦の花は、美しすぎて異界のもののようにも思えてしまう。去って行った夏を思い返し、言葉にならない寂寥感を表す色なのだ。






蕎麦の花のときは、長い。咲き始めには、隣の水田はまだ青々としている。これが、時の移ろいに気付かずに居ると、いつの間にか田んぼは黄金色に変じて輝いている。白と緑、白と黄金。鮮やかな色彩の対比も移ろうのだ。









9月22日。白き花も永遠ではない。徐々に褐色をまとい、花は枯れてゆく。花弁の下に、四面体のような蕎麦粒が見える。





午後の蕎麦畑。初秋に眺めた白い輝きはすでに失われている。





 あかとんぼ、空から眺めた景色を、わたしに教えてくれ。










9月28日。たった数日のうちに、蕎麦の花は消え去った。

かつて花が咲いていたあたりを眺めれば、まだ緑色をした玄蕎麦の実を観察する事が出来る。この中で蕎麦の実が太るのだ。









そして十月に入ると、そば殻は暗褐色に変じてくる。





刈り入れまで、あとすこし。新蕎麦の季節まで、わずかである。たまらん。






 




0 件のコメント:

コメントを投稿