初冬の半日を美ヶ原に遊ぶ。
松本市街地からから美ヶ原を眺めたら、新雪をまとって砂糖菓子みたいだ。遊びに行こう。
11月5日、裏山の美ヶ原へ。雪をまとった槍穂の連なりを眺めたくて。ほんとのこと書くと、この週末に八ヶ岳方面で雪遊びしている仲間たちが羨ましくて我慢できなくて。
わたしは八ヶ岳に行けなかったので、歯ぎしりして反対側の劔なんかを眺めている。美ヶ原から劔が見える、って云うと少しびっくりされるけど、蓮華の右肩に見えているのがそれ。中央のとんがりは針ノ木、左は立山。
三城牧場の脇から小径を拾っていく。秋の終わり、それは冬のはじまり。
猟友会のハンターたちが大勢そろって狩りの支度をしていた。ニホンジカを撃つんだろう。わたしはこの朝、全身黒づくめで山に来てしまった。ツキノワグマかニホンカモシカと間違えて撃たれないだろうか。少し困ったぞ。
空は、冬の色を映してる。
いまは無人の小屋。御嶽講の関係と聞いたが....。
こう書くと違和感があるかもしれないが、このトレイルは『長野県道283号美ヶ原公園線』だ。
前の日の雪が、落葉松の梢に残っている。山靴で、新雪を蹴飛ばしながらのぼっていく。遠くに南アルプス。
とても静かだった。この朝、この道を登って来るのはわたしが初めてで、新雪の上にはトレースがなかった。それでも王ヶ頭直下までくると人の気配を感じる。そりゃあ県道だもんな。
王ヶ頭では最初だけ八ヶ岳を眺め、くやしくて「ちぇっ」と呟いた。
それからハイカーで賑やかな王ヶ鼻まで足を伸ばして、槍穂を眺める。一時間ぐらい、わたしは西を眺めていた。いくつものピークや、それぞれの稜線のそこかしこに、かつて魂のかけらを置いて来た。それをひとつずつ確かめて過ごしたのだ。
まだ正午だというのに、森の中にのびる影の長さよ。
鹿撃ちの銃声が響く中を、わたしはちびりそうな思いで下っていった。一発、あまりに近くで、轟いた。しばらく身をすくめていると、鈴を鳴らして色鮮やかなウエアに身を包んだ二人組。しめしめ、先行してもらって後ろに付く。お陰で無事に林道まで降りて来ることができた。
三城の牧場で、ハンターのひとりが牛と話し込んでる。その背中は、牧牛に説教してるようにしか見えなかった。
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