2019年6月15日土曜日

Helle Folkekniven 80 blade

雨の朝、ブレードが届いた。


フィヨルドのほとりに建てられたHelleという鍛冶屋のもので、sandvik(12C27)というステンレス鋼で出来ている。これを隣のムーミンの国で注文すると、四日目にはこうして手にして眺めていられるという、結構な時代になったと実感させられる。






事の起こりは数年前に遡る。山友で美術家、そしてすぐれたブッシュクラフターであるスズキサトル君が一本のナイフをくれたのだ。サトル君からナイフを貰うという名誉な出来事以来、そのナイフはわたしの野遊びに欠かせない一本となった。野遊びといっても初夏に野蕗を伐ったりする程度であるが。

北欧生まれのナイフ(ならばプーッコあるいはpuukko と書かねばなるまい)に加えてオピネルやハンドメイドなどが何本かあるのだが、どれも炭素鋼である。研ぎなどの手入れ自体が楽しくて仕方がない。なのだがふと、ステンレス鋼で手入れに手間要らずの一本が欲しくなった。日常的に庭仕事や野外料理に使う目的のナイフである。ハンドルは広葉樹材などの天然素材として、伝統的なサーメ人の道具を思い浮かべてみる。製作過程で必要な道具は最低限ながらほぼ揃っている。そこで手軽なブレードを漁った結果、ノルウェーのhelle 社のブレードがわたしの手もとに届いたのだ。



Helle folkekniven 80 blade 、Sandviks 12C27ステンレス鋼、板厚は3.0、ブレード長88mm。写真では解り難いが、外光を反射させて見ると和包丁の「割込」のような様子が確認できた。ラミネートステンレスとは異なるのか、まだよくわからない。

刃厚が3.0なのでベベル面は広くない。グラインドはお約束のベタなスカンジで、マイクロベベルが施されているようにも思えるが意図的な刃付けではないかもしれない。箱出しでもコピー用紙はサクサク切れた。





ブレード根元の真鍮パーツは、本来はボルスター等呼ぶようだが、わたしはフロントプレートと呼んでいる。いま手元にあるブラス素材のシクネスが2.0と10.0。今回のHelle folkekniven 80にはフロント/エンド共に2.0を使用予定である。一点、不安を残す要素がステンレス鋼のカシメである。貫通させたタングのケツがハンマリングでカシまるのか、少し読めない。末端の焼鈍(焼きなまし)処理が必要になるかもしれないが、ブレードへの影響はないのだろうか。この辺はステンレス鋼ブレードの事例を調べてみよう。




ハンドルは色と質感の異なるウッドの2-3ピース構造、メインは在庫の花梨かホンジュラスローズで良いだろう。ブラスの薄板、レザーワッシャーなどのスペーサもデザインに合わせて加えてみる。ベルトサンダーは所有していないから削りがやや大変そうだ。




手前の花梨材あたりがHelle のハンドルになりそうだ。二本分で296円とかもう。




乾燥済み欅のブロック。杢目の出そうな部分を選んで使ってもよさそうだ。今回は出番はないかもしれない。



実は次なる予定では、別な鍛冶屋が鍛え上げたシクネス5.5ミリ高炭素高のブレードを手配している。今ごろ鍛造中だろうか、入荷待ちとなっているが夏の間には手に入りそうである。白樺の樹皮もやがて届くことになっている。愉しみは当分続きそうである。


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