2020年3月15日日曜日

レザーワッシャーハンドル、4本目




手仕事の備忘録としてここに残しておく。

レザーワッシャーを積層して北欧様式のブレードと組み合わせたプーッコが4本を数えた。工程は、北欧やロシアのYou Tuberを漁って作り方を調べるところから始まる。わたしはロシア語も北欧諸語もヒアリングできないからテロップ付きの映像を探す。白状すると英語も、家人がわめいている言語も聴き取れない。テロップがあれば翻訳を駆使してそれらしい解説を得る。あるいはbladeforums.comというサイトの投稿を読む。じつに毎回手探りで素材、手順、メソッドを考えながらの試行錯誤である。結果、手応えを感じることが出来た。今回の一本がわたしなりの標準的な作り方を示すものとなるだろうから、いくつかのメモを書き留めよう。






フロントプレートとエンドのブラスには、またしてもフィンランドのプーッコメーカーであるOsmo先生に貴重な知見をいただいた。Osmoさんはこのサイトで活躍しておられてYou TubeでもTipsを披露しておられる神さまのようなお方だ。

タングとのフィッティングを追求すると、フロントプレートを裏から叩く、という処理が重要になる。加えて今作は鎚目を演出とした。また、エンドのタングホールは皿穴としておくことでより大きなカシメ強度が得られることも学んだ。






積層を終えたグルーイング中のプーッコ。左と中のは加工を放置しているハードウッドのハンドルのもの。チンチャンという樹種が硬すぎてなかなか削れないのだ。




#60のベルトで成形中の様子。ざっくりと4面を出していく。





その後、何となくハンドルっぽい形状に削りながら手のひらで撫で回す。あと1ミリ、というところで番手を上げる。





途中の写真がないが、#120、#240と進めてきた。ここで形状を満足のゆく状態に仕上げておく。#400に進んだところが上に掲げた写真。ここからは形状ではなく質感を求めての作業となる。つまり、滑らかさだ。





#600での磨きを終えたところ。深い艶、光沢が出てきた。





次に、ボール盤にセットしたナイロンディスクで磨く。サンドペーパーの#1000よりもこの方が美しい表面を得ることが出来た。





クラフト社の『トコノール』を薄く塗って、ガラス瓶で擦った後の様子。





ほれぼれするような滑らかさ、吸い付くような手触り、たまらん。

ブレードは、Lauriのカーボンスチール、69ミリ。ハンドルに着手する前にベベル面をミラーフィニッシュとしている。簡潔に書くと、#400、#800、#1500、#2000とサンドペーパーで下地を出して、白棒、青棒を施してある。わたしが仕上げるブレードは、ここまでで良い。







2 件のコメント:

  1. こ、これは美しい。

    確かにこの握りに触れるのは「たまらん」かんかくでしょう。
    暖かそうな、でもなおひんやりと冷たいような、なんともセクシーな。

    ヤバイですよ、なんか宿ってる魂が浮き出てる感じで。

    私は、フライロッドのハンドルをコルクを削って作るぐらいしかしませんが、師匠の作品を見るといつか挑戦したくなります。

    これなら、魔除けにもなるでしょう。コロナもよりつきませんよ。。

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  2. 兄貴! 遅くなりました。
    毎日帰宅してからのアルコール消毒に時間ばかり取られ、Macの電源も入ってませんでした。消毒はビアから始めるのが一般的ですが、いま流行のウイルスは強力らしいのでモルトから始めるんです。いやあ、晩飯どころかぐでんぐでんに出来上がるばかりで、恥ずかしいです。

    レザーとかウッドとかコルクとか、こうした素材は手触りが何とも云えません。寝ている間も撫で回していたいと思えるのです。実際、寝首をかかれないようにプーッコを抱いて寝てるんですよ。

    兄貴はフライをなさるんでしたね。ならばステンレススチールのブレードにコルクのハンドル、川で落としても沈まないプーッコというものを考えてみます。いつの日か、焚き火を共にして兄貴に差し上げたい。その宵は、フライの振り方を教えてくださいまし!

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